危険ナ香リ
「俺に1人で掃除しろってか!?それが本気なら監禁して躾直してやるぞ!」
「ひぃっ!」
佐久間先生から流れ出るオーラがあたしを頭の上から恐怖で押さえつける。
な、なんて威圧感……!
しかも、顔がいいから、無駄に恐怖が倍増だし……っ。
こ、怖いよぉお……っ。
「ったく……。全然来ないからどうしたのかと……」
はあ、と大きく短いため息を吐き出して、あたしを掴んでいない方の手で髪をかきあげる。
その様子を見て、少しドキッとしてしまう。
さっきまで、鬼の目をしていたのに、今はそれがちょっとだけ引っ込んで……いつもの佐久間先生が、見えた。
そして、佐久間先生の言葉に含まれている意味に、心配されていたのかな、と自惚れてしまいそうになる。
「葛西に聞いたら“図書委員に会いに行くって言ってた”っていうし。図書委員って言ったら佐々木しか思い浮かばなかったから……あーもーっ。なんでそう簡単に人についていくんだ」
柚乃ちゃんに、佐々木さんに会うって教えたことを思い出した。
その時はまだ佐々木さんの名前が分からなかったから、図書委員と呼んでいた。
佐久間先生は何故“図書委員”の単語だけで佐々木さんを想像したんだろう。
小さな疑問を抱えながら、あたしは佐久間先生を見つめる。
不意に、目が合った。
それだけで、またドキドキしてしまうあたしって……どうなんだろう。
パッと目を逸らして、どうにかして落ち着こうと頑張った。
「子供じゃないんだから、知らない奴についていくなよ」
「す、すいませ……」
「しかも佐々木について行くなんて……お前、食われたいのか」
「へ?」
その佐久間先生の言葉が、どうゆう意味なのか分からなくて首を傾げる。
それに気づいた佐久間先生は小さなため息をはいた。
「つまりだな。ベッドの上で裸になってあんなことやこんなこ」
「ぎゃーっ!!」
なんか分かった!
分かったからもう言わないでっ!
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