危険ナ香リ
「うおうっ!?」
朝一番。
柚乃ちゃんに顔を見せた直後に、そんな声を出された。
「ね、寝不足……?いや、泣いた……?」
……どっちもです。
心配そうに見つめてくる柚乃ちゃんから目を逸らし、うつむいた。
……昨日、結局、あの女の人と佐久間先生の関係が気になって眠れなかった。
それに、やっぱり、邪魔者扱いされたことがショックで仕方ない。
それに、長々とショックを受けながら考え込んでいるうちに、あの時何故佐久間先生は怒っていたのだろうということも考え始めた。
……そうしているうちに朝になっちゃってて。
ヒドい顔だってことは自分でもよく分かってる。
朝、鏡見て本気で学校を休もうと思ったくらいだもん。
……でも休まなかったのは、
「柚乃ちゃん。あたしね、」
「ど、どうした」
「好きな人のことを忘れるのって、どうしたらできるのかなぁ……?」
柚乃ちゃんや美波先輩から、忘れる方法を教えてもらおうと思ったから。
少しでも早く忘れてしまいたい。
こんな思いを、もうしたくはないから。
「わ、忘、忘れるの!?それでいいの!?」
……いいの。
もう、いいの。
そう思ってるのにその言葉が口から出ないとゆうことは……あたしは本心からそうは思っていないということなんだろうか。
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