危険ナ香リ
その後、あたしが帰ることを全力で嫌がって騒いだ美波先輩を全力で引き剥がした佐久間先生に連れられて、素早く車までやってきた。
タバコくさい車内に乗り込んだあと、佐久間先生は逃げるように急いで車を発進させていた。
「タバコくさいなら窓開けろよ。て言っても、もう寒くて無理か」
「開けます」
寒い方がまだいい気がして、即答したはいいが、窓の開け方がわからない。
困っていると、佐久間先生が運転席側から窓を開けてくれた。
一気に冷たい風が流れ込んで、思わず目を細める。
「……清瀬」
「はい?」
「今まで、俺のこと避け続けたのはタバコのニオイが原因か?」
ギクリとした。
別に避けてたわけじゃ……ううん。避けてたか。
保健室の掃除当番に当たる度に、佐久間先生に近づかないようにしていた。
それはもう、避けてるとしか言いようがない。
「……はい」
もう隠し立てしても仕方がない。
そう判断して、冷たい風に当たりながら声を零した。
「そうか」
冬の風は容赦なくあたしの肌を刺してきた。
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