危険ナ香リ





「は、離してくださいっ!」

「美波とのこと、話さないって言ったら離してやっても構わないけど」

「言いません!言いませんから!」




 すっかり怒りも冷めて、焦りだけが体を支配していく。


 このまま……このまま反抗し続けたら、あたし、監禁される!


 もしくはキスされちゃう!


 ひいいいっ!怖いよぉお……!






「……ぶっ」






 ……へ?




「はは、あははは!ああ、いや、笑っちゃだめなんだけど……ふは」




 え? え?


 な、なになに?なんで笑ってるの?


 一気に手を引っ込めて、反対を向いて肩を揺らして笑う佐久間先生に、ポカーンと口を開けることしかできないあたし。


 そんな2人を乗せた車は、未だに動こうとはしない。




「すんげえ素直な反応……っ。やっぱガキだ」




―――― んな!?


 この人は……!

 まぁたあたしをガキ呼ばわりして……!!


 ふるふると怒りで肩を震わせるあたしと、笑いで肩を震わせる佐久間先生。


 そんな2人を乗せた車は、まだ動かない。

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