危険ナ香リ
耳元で、心底楽しそうに囁く佐久間先生。
くすぐったくて身を引くと、佐久間先生の手が離れていく。
見ると、すごく愉快そうに笑っていて……それがすごくムカついた。
「佐久間先生なんか大っ嫌い!!」
今日一番の大声を出して、半泣き状態で転がるように車内から飛び出した。
佐久間先生なんかっ!佐久間先生なんかかっこよくない!!
顔がよくったって性格がよくなきゃ、かっこいいなんて言えないよ!
あんな最低な人が、なんで先生なんかやってるのか分かんない!
その夜はひたすら佐久間先生の悪口ばかりだった。
もうっ!バラしてやる!
美波先輩とのこと、バラしてやるんだから!
……って言っても、バラしたらあの人が何をしてくるか分からない……。
“監禁”なんて言葉を口にする、あの性悪を思い出しては枕に顔をうずめた。
……もう関わりたくない。
思い出せば思い出す度、その想いが強まった。
.