危険ナ香リ
嫌われるよりなら1人の方がよかった。
でも、寂しい。
移動教室がなくて幸いだと思った。
だって、1人で移動するなんて寂しいから。
「きょーこちゃーんっ!」
そんな寂しい時間を過ごして、お昼はどうしようかな、なんて考えていた時だった。
一際目立つ綺麗な容姿をした美波先輩が、あたしの名前を叫びながら教室にやってきた。
しかも嬉しそうに、お弁当を2つ抱えて。
「今、暇?」
「は、はい」
周りからの視線が痛い。
そりゃそうか。
なんたって学年が違う人がいきなり教室に入ってきたんだもんね。
しかも相手は、佐久間先生の恋人と噂になっている美波先輩ときたもんだ。
注目を浴びるのも仕方がない。
「じゃあ一緒にお弁当食べよう?」
「へ?」
「れっつごー」
「へ!?」
いきなり言われても……なんて言ったってあたしが暇なことに変わりはない。
それに、このままだったら1人でお弁当を食べる羽目になってたから、寧ろありがたい。
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