危険ナ香リ
「あのっ、どこに行くんですか?」
腕を引っ張られ、たまに転びそうになりながらそう聞く。
地味なあたしと美人な美波先輩とゆう異色の組み合わせに、すれ違う人達は興味深げに視線を向けてきた。
そんなのは一切気にしていない様子の美波先輩は、にっこり笑ったままこっちに振り向いた。
「保健室」
逃げ出したくなったのは言うまでもない。
だってだって!保健室には佐久間先生がいるもん!
関わりたくない。会いたくない!
ズルズルと引きずられながらイヤイヤと首を振るあたしを見て、すごく楽しそうに笑う美波先輩。
この人……なんだか佐久間先生に似てる気がする。
イトコって、そうゆうの似るものなのかな。
力強い美波先輩に負けた非力なあたしは、保健室のある一階へ降りた時には、もう抵抗をやめて諦めた。
そこからはあっという間だった。
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