危険ナ香リ





「あのっ、どこに行くんですか?」




 腕を引っ張られ、たまに転びそうになりながらそう聞く。


 地味なあたしと美人な美波先輩とゆう異色の組み合わせに、すれ違う人達は興味深げに視線を向けてきた。


 そんなのは一切気にしていない様子の美波先輩は、にっこり笑ったままこっちに振り向いた。






「保健室」






 逃げ出したくなったのは言うまでもない。



 だってだって!保健室には佐久間先生がいるもん!


 関わりたくない。会いたくない!


 ズルズルと引きずられながらイヤイヤと首を振るあたしを見て、すごく楽しそうに笑う美波先輩。


 この人……なんだか佐久間先生に似てる気がする。


 イトコって、そうゆうの似るものなのかな。






 力強い美波先輩に負けた非力なあたしは、保健室のある一階へ降りた時には、もう抵抗をやめて諦めた。


 そこからはあっという間だった。

.
< 54 / 400 >

この作品をシェア

pagetop