危険ナ香リ





「敦ーっ。場所借りるわよー」




 地獄の門に見えた保健室のドアが無情にも美波先輩によって開け放たれた。


 全体的に白っぽい部屋の中、佐久間先生は眼鏡をかけた状態でそこにいた。




「場所借……って、変なことするなよ」




 眉を寄せながら美波先輩を見た佐久間先生は、自販機に売ってあったコーヒーを片手にデスクチェアに腰かけている。


 そんな佐久間先生から、なんとなく目を逸らした。




「敦ってば、何を想像してるのかしら」

「そりゃお前、放送禁止用語のオンパレードだよ。なんなら言ってみるか」

「言わんでよろしい」




 ……いったいどんな想像してるんですか、佐久間先生……。


 って、それをなんとなくで理解しちゃうあたしもどうなんだろう。




「こんな変態男なんてほっといて、お弁当食べよう?恭子ちゃん」

「は、はい」




 こくりと軽く頷いて中に入ると、佐久間先生の視線を強く感じた。


 それを敢えて無視して、促されるがままにソファーに腰かけた。


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