危険ナ香リ
あたしは話に入ることが少なかった。
だって、2人の主な会話の内容は男の子についてで、あたしはその内容にはどうしてもついていけなかった。
あたしの場合は、“男の子のどこが好き”ではなくて、“その男の子だから好き”という考えだったから。
現に祐のことで、どこが好き?と聞かれてもあたしは返答に困ってしまったことがある。
こんなあたしだから、2人の会話には入っていけない。
それが、今一番の悩みだった。
「清瀬さん。これ」
「あ。ご、ごめんなさい」
前の席に座る飛鳥くんがプリント片手に振り向いている。
それを受け取って一枚取り後ろへ渡す。
前を向くと、飛鳥くんはもうあたしに背中を向けていた。
この間席替えをした。
あたしの前の席は、飛鳥くんになった。
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