危険ナ香リ


 ……佐久間先生は、佐藤さんの言葉を嘘だと言う。


 なんで分かったのか一瞬不思議に思ったけど、すぐに解決した。




 佐久間先生は、あたしが1人で掃除をしていることも、佐藤さんとあたしが同じ掃除班だってことも知っている。




「え……ええ?嘘じゃないし」

「だって、お前と清瀬、金の貸し合いするほど仲良く見えないんだよなあ」




 佐久間先生がどんどん佐藤さんを追い詰めていく。


 それを聞きながら、早くあたしを探す本当の理由を知りたい、と思った。




「……もう。じゃあ誰にも言わないでね」




 ドキンッ、と血液が大きく波うった。






「実はさ、これから友達と遊びに行くんだけど、お金足りなくってさぁ。清瀬さんならきっと貸してくれると思って、探してんの」






―――― その言葉は、あたしが思う嫌な予感と怖いくらいに一致していた。




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