危険ナ香リ


 何度も何度も涙を落として、佐久間先生を怒鳴りつけた。


 それでも、佐久間先生は大人しくそれを聞き続けていた。


 そうしているうちに、たまにあたしの涙を拭おうと手を動かすけど、すぐにやめる佐久間先生の行動に気がついた。




「……」

「どうした?」




 頬が、冷たい。




「……バカ」

「え」

「バカバカバカー!」




 佐久間先生があたしに触れないのは、あたしのせいだって、分かってる。


 だけど、今のあたしはワガママで、矛盾気味で、頭がおかしくなっていて。






「触ってくれなきゃヤダーっ!」






 静かな図書室に、あたしの声が響く。


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