危険ナ香リ
―――― 小さい頃は、これが恋愛感情だなんて分からなかった。
でも他の男の子とは違う、なにか特別な存在だってことは理解していた。
でもそれがどんな存在かなんて考えたりはしなかった。考えようとも思わなかった。
「さっさと席に戻んなよ。あんたが居ちゃ恭子とガールズトークできやしない」
「毎回休み時間にガールズトークしてんじゃんかっ。俺はボーイズトークしかできん!嫌だ、むさ苦しい!」
むさ苦しいって言いながら、祐、毎日楽しそうに笑ってるよね。
ちょっと矛盾しちゃってるよ。
なんて思った時、ふと、がこっちに近づいてきている人が目に入った。
「おいこらバカ祐。そんなこと言うなんて酷くね?ならもう関わんねぇぞコラ」
真っ黒な笑顔を浮かべて、祐の肩をポンっとたたいたのは、祐の親友の飛鳥(あすか)くんだった。
「うげっ!飛鳥!?」
「なんだその反応。俺に対してすんげぇ失礼じゃね?」
「いで!ちょ、肩いた……っ」
「つーか、お前ちょっと来い」
「いででで!ってか、なんで呼び出し!?」
あたしは、いきなり笑うのを止めた飛鳥くんを黙って見つめた。
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