危険ナ香リ


 そして、あたしの“意外”な部分を見つける人は、そうそういない。


 祐はもう分かっているけれど、柚乃ちゃんなんか、高校からのつきあいだから、まだあたしの“意外”な部分を知らない。




「さて。今日、俺が飯の当番なんだった。さっさと帰んなきゃ美波にど突かれる」

「美波、って、佐久間先生と付き合ってるって噂になってる人ですか?」

「断じて付き合ってなんかない」

「同棲してたんですか」

「……佐々木」

「確信犯ですよ。あと、安心してください。同棲のことも不純異性交遊のことも、誰にも言いませんから」

「……それも確信犯か、このやろう」




 ふじゅ……!?


 ち、違うもん!

 そんなことしてないもん!


 本当に泣きたくなりながら、再び顔を真っ赤に染めてた。


 そんなあたしの腕を、佐久間先生が引っ張った。




「ほら。さっさと帰るぞ」




 そう言って、あたしを立たせる。




 ……やっぱり何事もなかったかのように接してくる佐久間先生は、絶対に、“馴れている”に違いない。




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