危険ナ香リ
第2章
繰リ返スこと
今日は、特別な日だった。
放課後になって、ため息を1つはいた。
佐藤さんに何かされたってわけでもなければ、イジメを受けているわけでもない。
だけど、泣きたくなった。
それを振り切るように、立ち上がった。
「ねぇ、恭子!」
パッ、と顔をあげると、柚乃ちゃんが白い歯を出して笑っている姿が見えた。
「なっ、なぁに?」
変に緊張してしまって、ちょっとだけ声が裏返ってしまった。
こんなあたしを見て、柚乃ちゃんは未だに白い歯を見せて笑っていた。
「今日の数学の授業、あたし寝ちゃっててノート取れなかったんだ。お願い!貸して?」
両手を合わせて、そうお願いする柚乃ちゃん。
その姿を見て、なんだか一気に力が抜けた。
「あ、ああ。うん……」
やっぱり泣きたくなった。
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