危険ナ香リ
「昨日、俺の大事な美咲(みさき)に手ぇ出したから。一発殴ってやんなきゃ気ぃすまねぇ」
堪えられなくなって、目を伏せた。
美咲、ってゆうのは祐のカノジョの名前で、その美咲ちゃんは飛鳥くんの妹さん。
それがキッカケなのか分からないけど、元々深かった2人の仲がさらに深くなっているような気がした。
……嫌だった。
仲良くなるのは別にいいことだけれど、仲介役になったのが美咲ちゃんなのが嫌だった。
とゆうよりも、あたしはただ単に“美咲ちゃんと祐”の仲の良さを“飛鳥くんと祐”に置き換えてちゃってるから、こんなにも嫌なのかもしれない。
「ちょちょちょい!待て待て待て!なんで俺が手ぇ出したこと知ってんだ!?」
……手、出したんだ……。
1人、しゅん、と沈むあたしに気づいたのは柚乃ちゃんだけだった。
飛鳥くんと祐は、お互いを見つめて話に集中しているからあたしになんか気づかないようだ。
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