危険ナ香リ




 この人が、こんなに可愛い人が、……祐のカノジョ。






―― ガラッ


「清瀬、お前今日空いて……。って、友達?」






 いきなり保健室から出てきた佐久間先生に、不意打ちを食らったあたしと美咲ちゃんが跳ね上がった。




「せ、先生。なにか用ですか?」




 とりあえず“友達”とゆう単語は無視した。


 ……だって、あたしと美咲ちゃんに関係なんてないに等しいし……。


 それに、あったとしても説明ができないから。




「いや、後でいい。……にしても、清瀬、後輩に友達がいたのか」

「は、初めまして。安藤美咲って言います」

「“美咲”?」




 その名前に覚えがあるのか、佐久間先生が聞き返した。


 なにかあったのかな?と思った瞬間、頭の中に図書室での出来事が浮かんだ。





“先生は、美咲ちゃんのこと知らないから、そんなことが言えるんだよ!”






 ……あれだ。

 あれに違いない。


 そう気づいて、あたしは顔を青くさせた。

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