snow flake〜罪な恋に落ちて〜
「追いかけてごめん。私、椿の連絡先、聞いてないから…あ、メールする約束はできないけど、でも、今日、せっかく知り合えたんだし、椿が嫌じゃなければ……えと…」
――――ギュッ。
「姫、少しだけ黙って?話は後で聞くから、今はこうさせて―――」
胸に頭を押し付ける体勢になって、何も言えない。
伝えたい事はたくさんあったのに、今、この瞬間があれば言葉はいらないとさえ思えた。
遠慮がちに椿に手をまわすと、クスッと微笑まれた気がした。
「あったかいね…」
「うん、あったかい」
突然、椿の携帯が振動する。
お店からのようで、二、三言葉を交わして電話を切る。
どうやら、呼び出しの様子。
「お店からでしょ?私、一人で平気だから」
椿はなかなか首を縦には振らない。
でも、二度目の着信に渋々頷いた。