snow flake〜罪な恋に落ちて〜

温かいお湯が肌を滑り落ちる。

椿のぬくもりまで消えないようにと願った。


蒸気で満たされた浴室に覚えのある香りが広がる。


私の肌に残った椿の香りだった。


蘇る、甘い言葉。

しなやかな腕。


太陽みたいな笑顔。


椿に包まれているような錯覚さえ起こしそうになる。

私は自らの体を抱きしめ、強く、強く、心の底から願った。




この想いが例え神に背くものならば、

私はとっくに地獄に堕ちている。



ならば、どんな罰でも受けます。


だから、少しだけ時間を下さい。



彼だけを想って過ごす時間を……






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