snow flake〜罪な恋に落ちて〜

関係を守る為に、私達はいくつかの約束をした。


中でも、夕方、椿が起きる時間に電話をする約束は毎日の楽しみになった。

寝起きの悪い椿はなかなか電話に出なくて、起きたと確認してもすぐに寝ちゃうこともあって…子供みたい。


一番最初に約束を実行した時だった。


幼さ残る声で、

夕方にも関わらず、

「おはよう」

電話越しに甘く囁く椿は、夜に生きる人だと痛感した。


私以外の女性の為に働く椿。

ホストなんだから当たり前だ。

分かり切ってた事だけど、胸が痛んだ。


沈黙に何かを察したみたいだった。


「俺、姫一筋だからさ。行ってくるよ」



それから、彼は毎日そう言って電話を切るようになった。



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