snow flake〜罪な恋に落ちて〜
タバコの匂いに混じって、その香りに気付いたのは、椿と出会った次の日。
土曜日も仕事がある樹。
いつにも増して遅い帰宅に、何かあったのかと心配した時だった。
帰宅した樹は珍しく、酔っていた。
付き合いで飲みに行く事なんて普段じゃ考えられない。
元から、人付き合いが苦手な人だから。
水を求める彼に近付く。
水を渡した瞬間に香った甘い百合のような香り。
間違いなく女物の香水だった。
その時は、何一つそれが私以外の存在を示すなんて思いもしなかった。