snow flake〜罪な恋に落ちて〜



15時の休憩に合わせ、樹から電話があった。

相変わらず、私達は互いを彼氏彼女の位置に起きながらもすれ違いのような関係を続けている。


私は女性の存在に気づかない振りをして、自分を守っていた。

それを言ってしまえば、椿との関係が壊れてしまうような気がしてならなかった。


今夜も帰りが遅い事を告げて、一方的に切れる電話。

私の返事なんか必要ないかのように。

携帯を閉じて、小さく息を吐く。

給湯室に入れたてのコーヒーの香りが広がる。

大好きな香りなのに、今日はなぜかほろ苦く胸を締め付けた。


無性に、あの笑顔に会いたくなった。


仕事を終えて、いつもとは逆方向の電車に乗る。


椿に、会いに行く為に―――。



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