snow flake〜罪な恋に落ちて〜
一緒に暮らす前から分かっていた事だけど、
樹は決して、優しくはない。
むしろ、『俺様』って言葉は彼の為にあるとさえ思う。
バンドをやっている事もあってか、ファン、つまりは女の子とメールは当たり前。
休日も練習に費やす。
付き合い始めは連絡もマメではないけれど、私を不安にさせない程度には電話もくれた。
一緒に住んでからはそれすらなくなった。
それでも、私を大事にしようとしてくれてる。
そんな態度が垣間見えるだけで、
樹の下手な優しさを、素直に愛しいと思えた。
どんなに遅くなっても、必ず家に帰ってくるところ。
私が風邪をひいた時は慣れないなりにもお粥を作ってくれるところ。
眠る時、必ず私を腕に招いてくれるところ。
そして、髪にキスを1つくれるところ。
些細な事であっても、私にとっては樹の気持ちが伝わるようで嬉しかった。