snow flake〜罪な恋に落ちて〜
取り残された気分になった。
勇気を出して、ここまで来た結果がこの状況だ。
「椿、同伴だったんだね…」
俯く私を見て、恋クンは言葉を探してた。
優しい恋クンを困らせる私は最低だ。
店内は賑やかなのに私達の周りだけ、とても静かだった。
電話しなくて良かった。
仕事の邪魔になったら困るし、椿の性格だとお客さんを放っておきかね。
そんな事になったら大変だ。
この前の事もあり、見つからないように席を立とうとする私に恋クンは複雑な顔をした。
「椿には私が来た事言わないで?琥珀さんにもそうしてもらえるように伝えてくれるかな…?」
恋クンは頷いてくれたけど、納得いかない顔をしてる。
私だって、心ンは複雑だ。
それが椿の仕事だと分かったつもりでも、どこかでお客さんとは言え嫉妬する自分がいる。
けれど、表に出してしまったら、椿はきっと自分を責める。
そんな思いは椿にはしてほしくない。
その為には私が我慢すれば良いだけの事。
上手く消化出来ないジレンマに気持ちが追いつかず、一気にビールを流し込んだ。
生ぬるいビールはいつも以上に苦くて、私の恋そのものだと思った。
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