snow flake〜罪な恋に落ちて〜



席に着くなり、「姫、俺に会えないからって頭おかしくなったの?」なんて、冗談混じりに言われる。

「そうだよー。椿に会えないから、算数も出来なくなっちゃった」

負けじと私も冗談で返す。


本当はこの前より近くに座る椿に心臓がざわついて、

縮まった距離にドキドキが収まらない。


冗談でも言わないと、普通になんかしていられなかった。



この前の続き…みたいに、私達は少しの間、たわいもない話で盛り上がった。

会えない時間があったなんて嘘のようだ。
椿も、私がお店に来た事については何も振れてこなかったから、私も言わなかった。



シャンパンコールの為、店内のホスト全員が席に集まる様は圧巻だった。


大音量の音楽、それに負けないくらいのマイクパフォーマンスが始まる。


「今宵はkNightが誇る、イケメン癒し系ホスト、椿に綺麗な綺麗な姫からの、ドンペリ黒のプレゼントです!」



この瞬間だけは、私と椿。

この空間は2人だけのものになる。




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