snow flake〜罪な恋に落ちて〜
場所を変えて、外に出た。
月明かりが綺麗な夜に相反するような樹。
不機嫌なのが電話越しでも伝わる。
どうやら、樹は予想より早い帰宅だった。
家に居ない私に苛立ってるみたい。
「ごめん、友達と飲んでる。終電までには帰るから…」
「は??何言ってんの?すぐ帰ってこいよ」
私の言葉なんか聞き入れない。
いつもいつもそうだ。
「いい加減にして!!私は樹の召使いじゃないよ。思い通りにならないからっていちいち怒らないでよ。私にだって、自由があってもいいでしょ?」
今まで溜め込んだものを吐き出すように一気にまくしたてた。
吐く息は真っ白く、私の声は澄み切った空気に触れてあたりに響いた。
私以外に人がいないのは幸いだった。
電話の向こうで、樹がどんな顔をしてるか分からない。
唯一言えるのは、笑顔でないのは確かだ。
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