snow flake〜罪な恋に落ちて〜
初めて抱かれた夜は、何故か眠れなかった。
火照った体から熱が覚めていく感覚に、私は樹の肩口に頭をのせた。
「…寝ないの?俺、明日も早いんだけど」
いつまでも寝る気配のない私に頭上から眠そうな声が降る。
いつもは凛とした、少し低くて甘い声も今は子供のよう。
私は小さく笑みをこぼした。
「うーん…、なんか寝るのもったいなくて。先に寝て?私もそのうち寝るよ」
気怠い体を持ち上げ、唇に触れるだけのキスを残し私はベッドから降りる。
はず、だった。
私の視界には白い肌が映る。
滑らかな、女の私が嫉妬しそうな程キレイな樹の肌。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
床に足が付く寸前で腰を引かれ、視界は反転。
でも、すぐに気付く。
樹の腕に捕らわれた事に。