snow flake〜罪な恋に落ちて〜
重ねた手とは逆側の腕を彼の腰に回す。
さっきよりも近い距離。
柑橘系の愛しい香りに引き寄せられるように私は彼に自ら唇を重ねた。
2度目のキスは私からだった。
いつ、誰がくるかも分からないスリル。
自分で起こした行動に心臓は激しく時を刻み込んだ。
胸の奥が切なく甘く疼く痛みに眩暈をおこしうになる。
「椿が何を言っても帰らないよ?」
唇を離した私は少しでも、私の気持ちが伝われば…そう、願い彼の目だけを見つめ続けた。
少しくらい驚いてくれてもいいのに。
そう思ってしまうくらい椿は冷静な顔をしてた。
どれくらい見つめ合ったか分からない。
私は一度も目をそらさなかった。
最終的には、根負け。そんな言葉が合う表情を浮かべて「姫には適わないなぁ…」椿がそう言って折れた形になった。
目だけで微笑んだ椿は「ごちそうさま」そう言って、小さく呟やくと頬にキスをくれた。
店内に戻っても、彼の手が私を離す事はなかった。
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