snow flake〜罪な恋に落ちて〜



「冗談だよ?姫が可愛いから、からかいたくなっちゃった」


そう言って、距離を縮める。

自然な動作で腰に手をまわし、軽く唇に触れるだけのキスをさらってぎゅっと抱きしめられた。


「つ、椿?…ココ、お店…だから…ぁのっ」

仮にも、椿の仕事場。

しかも、寝てるとはいえ他のホストもいる。

じっとなんてしていられない。


すっぽりと腕の中に収まる私は、ただジタバタと手を動かすくらいしか出来ない。

「ねぇ、椿?聞いて…」


唇に長い椿の人差し指が添えられる。


まるで『黙って』そう告げるような指先だった。



そんな事されたら、喋るわけにもいかなくて私は黙ったまま指先を見つめ続けた。



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