snow flake〜罪な恋に落ちて〜


そんな椿が、

ホストを辞めたいと言った時、正直ホッとした。

他の女性に微笑む椿を見なくてすむかもしれないから。




でも、気付いたんだ。


そんな気持ちを抱くのは、私のワガママなのかもしれない。




私に接するのと同じように、他の女性に対して優しくするのは決して嬉しい事じゃない。

けど、椿を求める女性それぞれにいろんな事情があって、足りない何かを埋めてほしくて椿に会いに来る。


大金と引き換えにね。


その気持ちに応えようと、仕事に向かう椿に対して失礼かな…って。




接客中に一瞬見せた真剣な横顔は仕事に対して真摯であろうとする気持ちの表れなんだろう。

私が心の奥底で不安に感じてる事なんて、今夜の椿には微塵もなかった。




彼のお客さんとしてお店に来なきゃ気付かなかった事がたくさんある。



私は、強く手を引かれてお店を後にした。



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