snow flake〜罪な恋に落ちて〜
Ⅲ―孤独―――――
頬に触れる何かが、私を現実に引き戻した。
夜が迫る事を告げる夕闇に染まる病室。
長い夢をみた。
確かな希望と、光溢れる未来に歩きだした頃の夢。
むしろ、今この瞬間の方が夢だとさえ思った。
目覚めた原因はすぐに分かった。
「ごめん、、泣いてたから。体、どうだ?」
私の頬に伝う涙をぶっきらぼうに拭う。
ハンカチを手にバツが悪そうな樹。
そう言った彼も、
泣いていた。
(―――綺麗)
彼の頬を伝う雫は差し込む光に輝いて落下した。
不謹慎にもそんな事を思う私は重症だ。
罪を犯してでも、
離れたくなかった。