snow flake〜罪な恋に落ちて〜

突然の言葉だった。

不意打ちをくらったみたいな、変な顔をしたと思う。

「急にどうしたの?」


伊織に顔だけ向けて返す。


太陽を受けて、伊織のコバルトブルーのピアスが輝く。


私の鼻先に人差し指を向けて、彼女は言う。


「『どうしたの?』じゃないよ。オフィスに入ってきた時びっくりしたんだから」

半ば怒っているような呆れてるような、そんな言い方だった。


「姫璃、まったく覇気がないんだもん。笑ったかと思ったら、すぐ泣きそうな顔してるよ?自分では気付いてないかもしれないけど…」

柔らかい日差しとは対照的に、真剣な顔をして続けてこう言った。
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