snow flake〜罪な恋に落ちて〜
顔を上げる。
涙と鼻水と、負の感情と…
私の顔はきっと迷子の子供みたいだった。
私に洗い立てのハンカチを渡してくれる。
伊織の瞳は同情とか、興味とか、そんな事を一切映さない澄んだ瞳だった。
優しさと強さをたたえた笑みの伊織は“女神”みたいだと思った。
真っ暗闇に置き去りにされて、
私はどこにも行けなかった。
一筋の光が指すまでは。
私は伊織の華奢な肩に頭をのせて、初めて声をあげて泣いた。
罪を犯した私には、差し出された手に触れる事すら許されないかもしれないけれど。
神様、少しだけ。
ほんの少しだけ、許して下さい。
天使の翼は傷だらけで、
きっと1人ではもう翔べそうにないのです。