snow flake〜罪な恋に落ちて〜
Ⅱ―誘惑―――――
ひとしきり泣いた。
体内の水分は全て出尽くして、
枯れて土に還り華になれたら良かったのに。
休憩時間はとっくに過ぎていた。
「うまく言っとくから、顔なおしておいで」
何事もなかったようにオフィスに向かう伊織。
(姉がいたらこんな感じなのかな…)
私はかなり年の離れた弟と2人姉弟。
兄や姉のいる友達がすごく羨ましかった。
明日、またランチを一緒する約束をした。
どこまで頼っていいか分からない。
私の家庭環境は複雑で、甘え方を知らない。
親にでさえ、どう接したら分からない事があるくらいだ。
きっと彼女の事だから、全部受け止めてくれるだろうけど。
化粧をなおし、オフィスに戻る。
言った通りうまく言ってくれたようで、誰にも何も言われなかった。