snow flake〜罪な恋に落ちて〜
片付けの為に台所へ立つ。
いつも通り作りすぎてしまった料理も、樹は残さず食べてくれる。
いつまでも経っても、
丁度良い2人分は作り慣れない。
出会った頃は、いつも言われた。
「姫、本当にご飯作れるんだな。マヂ、意外だし…ただ、作りすぎは勘弁な」
一口食べる度、噛みしめるように樹は言う。
半ば失礼に近い発言も慣れたもの。
私みたいな女が料理とか、家事全般できるなんて誰が思えるだろう。
自分でも思うんだから、他人にどうこう言われてもなんともなかった。
樹は口ではいろいろ言うけれど、作った物は絶対に残さない。
そんな些細な事が今でも嬉しい。
過去に意識が傾いた私を抱きしめる両腕に引き戻された。