snow flake〜罪な恋に落ちて〜
「気分が悪いと思うけど、それは麻酔がぬけ切れてないからですよ。しばらくしたら帰宅して大丈夫ですからね。点滴抜くので動かないで下さい」


言葉は優しい筈なのに、責められているようだった。

彼女の纏う空気は、間違いなく私に帰宅を促している。


点滴の針を抜き処置をする姿はなぜか儀式めいて、犯した罪の“烙印”を刻んでる気がしてならなかった。



帰宅の際は受付に声をかけるように、と言葉を残し彼女は部屋を後にした。

私の罪を知る、数少ない人。


もう、会うことはないだろうけど。


室内に静けさが戻る。


時計の針は15時過ぎを指していた。

少し横を向いただけなのに、

下腹部に鈍痛を覚えた。



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