snow flake〜罪な恋に落ちて〜


――――ッッ―!!



視界が歪む。

点滴跡の残る腕で強く、強く布団を握る。
鈍痛を感じて、
初めて“1人”になったと実感した。



私には、泣く事なんて許されない。


布団を握る手が白くなり、点滴を指していた箇所から血が滲む。


突然、温かいものが触れた。


それは、私と罪を犯した男の、紛れもない“涙”だった。


男はゆっくりほどいた私の手を、先程と同じように重ねた。


―――私の頬に一筋の涙が伝った。


一度溢れ出した涙は止める術がなかった。
堰を切ったようにこぼれ落ちる涙。

私は精一杯声を殺し、
ただ真っ白い天井を見つめた。



.
< 6 / 152 >

この作品をシェア

pagetop