snow flake〜罪な恋に落ちて〜
ひとしきり泣くと、重い瞼とは反対に晴れ晴れとした気持ちになった。
まだ鼻をすする私に彼女はこんな提案をしたんだ。
今、この時間を生んだきっかけ。
「週末、知り合いのお店に飲みに行かない?最近、姫とご飯とか行ってないし、パーッと飲も?」
思えば、この時からちょっとおかしかった。
だって、そう言った後になぜか服装を可愛い系のワンピースと指定されたから。
追加で、ちゃんとメイクもしてくるように。
なんて言われた。
その時は、
(ケタが1つ多いようなお店なのかな…)
とか、軽く考えてた。
今、自分がいるようなお店なんかまったく頭にもなかった。
その日の夜さっそく樹に話した。
案の定、良い顔をしない。
分かってた事だけど、毎回ため息がでる。
私は、友達と出掛けたり、1人での買い物すら樹の許しがないといけなかった。
いつからか忘れたけど、私達にはこれが普通の事だった。
普通の事だと思うようにしていた。
予想はしてた。
だからと言って今回ばかりは引き下がれない。
終電までに帰る事と、一時間毎にメールを入れる事を条件にお許しが出たのは1時間以上たってからだった。