snow flake〜罪な恋に落ちて〜
下から覗き込む。
不安に揺れる瞳と、絡む視線。
言葉を忘れそうになる。
必死で平然を装った。
(沈まれ、心臓!!)
「…ねぇ、顔あげて?私、そんなの気にしてないよ!これからも『姫』って呼んで?」
我ながら上出来だ。
マスカラを重ねた睫を少し伏せて、潤ませた瞳で上目遣い。
口元は緩やかな弧を描く。
別に意識したワケじゃない。
男性相手に仕事をしてたら、こーゆうのが自然に出るようになった。
『無意識だからタチが悪い』
私の過去を知る伊織にはしょっしゅう言われるけど、直せないから仕方ない。
一瞬だけ、椿の頬が染まった気がしたのは思い過ごしだろうか…
顔をほころばせて、頷いてくれた。