snow flake〜罪な恋に落ちて〜


「…ぇ、あ、うん」

乗せられた手が気になって仕方ない。

髪を梳くって、手で弄ぶ。

「姫の髪、綺麗だな?柔らかいし…」

意識が触れる髪の一本一本に集中する。

神経が通ってるかと思う程、どきどきした。

拒む事も、受け入れる事もできず、
ただされるまま。



「お2人さん、いい加減にしてくれる?」

見かねた伊織の言葉で、
椿が手を離すはずだったのに…


触れた髪の一掬いを口元に、軽く口づけられる。

「続きは今度…ね?」

そう、私にしか聞こえないように囁く。

椿は天使の顔した、悪魔のように微笑んだ。

(…え、え、えーーー!?)

完全に玩具のような私。

「姫って、面白いね?」

笑いながら、自分の事を私に向けて話し出した。


22歳。

18になってすぐホストを始めたらしい。

お店はkNightで3つめ。

彼女無。

趣味は車と料理…笑



話を聞きながら、椿の事もしっかり観察中。


光沢がかった黒の生地で仕立てられたスーツ。
糊がきちんとかかった淡いピンクのワイシャツに遊び心あるVivienne Westwoodのネクタイ。

タイピンとカフスボタンはどちらもGUCCIで、腕にはCHANELのJ12が納まってる。


磨かれた黒い靴を最後にみて、やはり完璧だと思った。

琥珀さんとは違う種類のセンスの良さを感じられる。
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