snow flake〜罪な恋に落ちて〜


「2人とも、話の途中で申し訳ないんだが、俺用事ができたから外すわ。悪いけど、伊織も連れてくから姫璃チャンは椿に送ってもらって?」


沈黙に沈みかけた私達の間に入り琥珀さんが言った。


「vanityに顔出して、そのまま上がるから。後の事はお前と恋に任せるから。締めは全部………じゃ、お疲れさん」


「分かりました、お疲れ様です」


琥珀さんの指示に頷き、頭を下げる椿。

ヘルプのホストも指示に従い、席を離れる。


なんでも、知り合いのホストさんがバースデーらしくお祝いに行くようだ。


いくら知り合いとは言え、男だけで行くわけにはいかないから伊織も必然的に行く事になってしまうみたい。

だからと言って1人で残るのは抵抗がある。

予想外の発言に慌てる。

椿と2人なんて、絶対無理ッッ!!


まさに¨ワタワタ¨そんな言葉が当てはまるような私。

「…伊織、無理だよぅ…私も帰るッッ」

椿とは打ち解けてきたけど、ホスクラに1人なんて…

「姫、本当にごめん。でも、琥珀1人じゃ行けないし…私じゃないとさ…」



琥珀さんと一緒に居られる口実ができて嬉しいのを、申し訳ない気持ちで抑えるような複雑な表情の伊織。


分かったてた。
ココで引き止めたらダメ。
伊織にあんな顔させちゃダメだ。

私に今、してあげられる事なんて一つしかない。


女性ならたくさんいるのに、指名客ではなく、

あえて伊織を選んだ琥珀さんも彼女が好きで。

ホストをしてる琥珀さんが好きな伊織。
お客様ではなく自分を選んでくれた事が彼女は嬉しいんだ。





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