snow flake〜罪な恋に落ちて〜

Ⅱ―幸福―――――


夢をみた。

それは、私が望んでいたものに限りなく近い、幸せだと感じた頃の夢。


・・・・・‥‥‥‥‥‥……………


男―――樹は私の彼。


友達に誘われて行ったライブで、私達は知り合った。

友達の友達。

そんな関係から、互いを必要とするまでに時間はかからなかった。


樹は私の2つ年下で、当時は大学生。

金と黒。
襟足が長いアシメウルフの髪は樹によく似合っていた。
両耳に20コ近く。
口に4コあいたピアスは近寄り難い印象を与える。

でも、ふとした瞬間の幼さの残る笑顔にそんな印象はすぐに消えた。

眼鏡の奥に覗く二重の切れ長な瞳、淡い色の薄い唇。
中性的な面持ちで『母親似なんだよね(笑)』なんて、よく言う樹に素直に頷けた。


普段は眼鏡がないと生活できないくせに、
ライブの時だけコンタクトから透ける茶色がかった瞳、
ギターを弾き女の子達から熱い視線を浴びる姿に惹かれた。
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