snow flake〜罪な恋に落ちて〜
Ⅵ―加速―――――
待つように言い残し、本当に椿は席を離れた。
正直ホッとした。
自ら“残る”選択なんて選べるワケない…
例え、それが私の本心であっても。
彼が歩む先には、椿が好きで、椿に会いたくて、少しでも自分を見てほしいと思う女性が待ってる。
“ホスト”との時間を高いお金で買う人が集まる場所。
だからと行って、ホストが悪い職業だと思わない。
私も夜の世界を経験してきたから少しなら分かる。
この仕事がどんなに大変か。
高いお金を払うだけ、価値のある存在でなければならない重圧。
お客様が一番好むように自分を創り変える。
本当の自分が分からなくなる事さえあった。
最初から、本当の自分なんてなかったかもしれないけど。
彼が女性に与えるのはきっと、癒やしだったり、優しさだったり、あの“笑顔”だったりするんだろう。
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