snow flake〜罪な恋に落ちて〜
こんな狭い空間じゃ、心臓の音がバレるんじゃないかって本気で心配した。
椿の腕を振りほどく事も、自ら腕をまわす事もできない。
小さくなって、自分の鼓動を聞いてるしかなかった。
「突然、いなくなんなよ?俺、マジで心配したんだぞ。気付いたら姿なくて…、この街を姫1人で歩かせるワケいかないし……」
無事で良かった――――。
椿はそう囁いて、腕に少し力を込めると私の髪にキスをした。
「―――ッ、つば…き…、私は大丈夫だから、離して?」
「ごめん、それは出来ない。離したら、男んとこ、帰るでしょ?」
だから、離してあげない。
今度はさっきよりもきつく抱きしめられる。
全身が椿の存在を感じて、甘い毒に犯されたみたいにまったく動けない。
「…どうして、椿はそこまでするの?私、お客さんにはなれないよ?」
期待して裏切られるなら、早く突き放して欲しかった。
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