snow flake〜罪な恋に落ちて〜


どんなにゆっくり歩いても、駅に着く。


眠る事を知らない街。

駅前は人で溢れ、流されないように、人目に隠れるように、私達は向かい合った。

まるで、罪を隠すように。



さっきまで、普通に話してたのに、
上手い言葉が見つからない。



「姫、アドレス教えてくれない?」


椿の言葉は、すごく嬉しいのに、
動揺が顔に出てしまう。

樹が居るから、メールなんてできない。



椿とはもう会わないとさえ思ってた。


今夜限りの甘い夢だから――――。



「安心して?俺からは連絡しないよ。待つだけなら、俺の勝手でしょ?」

戸惑う私を気遣うように、それで居て、自分の存在を示すように椿は言った。



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