奇跡の軌跡
プロローグ
酷く、ゆっくりと。
目を開けた。
焦点がまだ定まらず
辺りがぼやける。
長い、長い、
長い夢を見た。
そう思いたいんだ。
そう信じたいんだ。
真夜中、一人で枕を濡らした。
あなたに逢いたい。触れたい。声が聴きたい。
想う度に涙は止めどなく溢れた。
横にあなたがいたなら、慰めてくれたかなぁ?
――夢だと言って。
頭の中で回り続けたたった一言。
誰も言ってくれはしない一言。
これは私の最初で最後の大恋愛を綴った軌跡。