kiss
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なぜかポカンとした表情になった柳くんに私は首を傾げる。

なにか変な行動した?


「柳くん?」


声をかけるとハッとしたあと今度は頬が真っ赤になった。

こういうのを百面相というのかもしれない。


「どうしたの?」


真っ赤な顔のままチラチラと私を見る柳くん。

本当にどうしちゃったんだろう。


「…あーっもうっ」


今度はわしゃわしゃと髪の毛を両手でかき混ぜ始めた。


「先輩っ」


「ん?」


「もし、俺が彼氏になったら」


今度はなぜか例え話。

よくわからないけどとりあえず話を聞いてみることにした。


「……いや、なりますけど。いや、今はそうじゃなくて…」


「柳くん、落ち着いて」


「俺が言いたいのは…俺以外に笑わないでってことで…」


言葉が終わる頃には最初の勢いなんてなくなっていた。


「なんで?」


そもそも私ってそんなに笑う方じゃないと思うんだけど。


「なんでって…自覚ないんですかっ?」


「…なんの?」


そう聞き返すとこれでもかってくらい盛大にため息をつかれた。



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