タイブレーク
ジリリリリリリリリ…

ジリリリリリリリリ…

ピロッピロ…

パッポーパッポー…


数種類のめざまし時計と携帯のアラームが鳴っているのが、かろうじて聞こえる。
音が聞こえるから意識はあるのだろう。めざましを止めようと思って手を伸ばそうとするが、なぜか体が鉛のように動かない。

(なぜだろう?)

寝ぼけた頭で、私、矢面 涼(ヤオモテ リョウ)は考える。
2呼吸くらいは考えた後(記憶は定かではないが)、私は早々と意識を手放すことにした。

きっと考えるだけ無駄なのだ。

起きなきゃより起きたくないの方が比重が重たいのだから。

緊急警報、緊急警報、脳内は寝ろ寝ろウイルスに感染中。


本能的に布団にもぐりこむかのようにモゾモゾと動いた後、私は音すら聞こえない世界にダイブした。

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