【完】冷徹仮面王子と姫。
 階段を上がってすぐのところにあるドアの中、氷室君の部屋は。


 殺風景というのが一番いいだろう。とにかく…。



 物という物が、殆ど無い。



 ガラステーブル、窓際には椅子とそれにあわせた小さめの机、箪笥にソファ。


 目に付いたのはこのくらいだ。


 フローリングだからか、すっきりしすぎているように感じる。



「……ソファにでも座って」


「あ、うん」



 遠慮せずにあたしは、ふかふかのソファに腰掛けた。


 隣に座る氷室君に、当然のようにドキドキする。


 微妙な距離感が余計に、胸の奥を熱くする。




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