【完】冷徹仮面王子と姫。
「どうしよう」



 ベッドに仰向けになり、天井を見つめる。


 目じり、こめかみを伝って髪の毛の間まで染みていく涙は、心地悪い。


 付き合ってるなんて言えないほどの現状になってしまったけど。


 昔のように戻ってしまったけど、それでもあたしは躊躇っている。



 肩書きを求めるあたしは。


 彼女という立場だけでも確保しておきたいあたしは。


 間違っている……。



 自覚してしまった手前、もうどうしようもない。


 七方塞がりの中ただひとつの出口は。



「……やだ」



 拒んでも拒んでも、あたしに決断を迫ってくる。



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