【完】冷徹仮面王子と姫。
 きっとあーちゃんは、あたしが気づかないように、見ないように。


 わざとこんな風に振舞ってたんだ。



「どこ行こっか?」


「うーん…そういえば、二週間前だっけ?オープンしたとこあったはずだから、そこ行きたい!」



 あーちゃんの気持ちを、あたしなりに汲み取って返した明るい返事。


 きっと自然だったと思う。


 ……心配なんて、かけてられない。



 もうこれからは、一人で何とかしないといけない。


 ここまでずっと支えてもらったから、きっと…大丈夫だと思う。



 ―――さっき見たものは。


 あのこと氷室君の、ツーショット。



 ショックじゃないといえば嘘になるけれど。


 むしろ、迷いが残る。



 もう一度だけ、伝えてみたい。


 駄目かも、知れないけど。



 なぜだか、この時あたしは、こう思った。



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